AI活用で「仕事が増える」!?エイベックス松浦会長のnote記事制作から学ぶLLMとの賢い付き合い方

AIで仕事が楽になるは「真逆」?
エイベックスの松浦勝人会長が、自身のnote連載記事「松浦勝人の人生論」の制作にAIを積極的に活用していることを明かし、その中で「AIで仕事が楽になると思っていたけど、真逆でした」とX(旧Twitter)で投稿し、話題を呼んでいます。AIを活用したコンテンツ制作の現場で何が起きているのか、開発者やWeb制作者がAIを業務に導入する際のヒントを探ってみましょう。
AIとの協業で「仕事が増える」メカニズム
松浦会長の投稿によると、note記事の制作では、まずAIにたたき台を作成させ、その後数十回にわたってAIとやり取りを重ねているそうです。この過程で「別のアイデア」が次々と生まれ、結果的に仕事量が増加していると明かしています。これは、AIが人間の思考速度を上回るスピードで多様な選択肢を提示することで、人間側がそれらを検討し、取捨選択し、さらに深掘りしていくための思考リソースをより多く消費している状況と言えるでしょう。
具体的な苦労として、以下の点が挙げられています。
- 多数の案件を並行してこなす疲労: AIが生成するアイデアやアウトプットの速度が速いため、人間側もそれに合わせて複数のタスクを同時に処理する必要が生じます。
- 頭の切り替えの必要性: 案件ごとに思考を迅速に切り替えることが求められ、精神的な負担が増大します。
- 「休む」概念の喪失: AIの高速な処理能力に引っ張られ、休憩中も頭の中でタスクが回り続ける状態に陥りやすいとのことです。
この状況は、AIが単なる作業代行ツールではなく、人間のクリエイティブな思考を刺激し、拡張するパートナーとして機能しているがゆえに起こる現象とも解釈できます。AIが新たな可能性を提示することで、人間はより深く、より広範に思考を巡らせるようになるのです。
開発・Web制作の現場でどう活かすか
松浦会長の事例は、開発やWeb制作の現場でLLM(大規模言語モデル)を導入する際にも示唆に富んでいます。AIを単なるコード生成や文章作成の自動化ツールとして捉えるだけでなく、アイデア出しや企画検討のフェーズで積極的に活用することで、プロジェクトの可能性を広げられるかもしれません。
具体的な活用例
- 企画・要件定義フェーズでのアイデア出し:
AIに「〇〇なWebサービスを開発するとして、他にどのような機能が考えられますか?」「このターゲット層に響くWebサイトのコンセプトを複数提案してください」といった形で質問を投げかけ、多様なアイデアを引き出す。AIとのインタラクションを通じて、初期段階では思いつかなかった視点や機能を発見できる可能性があります。 - プロトタイピングの高速化:
Webサイトの構成案やワイヤーフレームのテキスト要素、UIのコピーなどをAIに複数パターン生成させ、比較検討することで、設計の初期段階での試行錯誤を加速させます。 - 技術選定・アーキテクチャ検討の補助:
特定の要件に対して「どのような技術スタックが考えられるか」「それぞれのメリット・デメリットは何か」といった情報をAIに整理させ、検討材料を増やす。
試すならどこから始めるか
まずは、日常業務の中で「アイデア出し」や「情報整理」に時間を使っている部分からAIを導入してみるのが良いでしょう。
例えば、次のようなステップで試してみてはいかがでしょうか。
- テーマや課題を設定: 「新しいWebサイトのトップページに載せるキャッチコピーのアイデア」や「ユーザーが離脱しにくいフォームの改善案」など、具体的なテーマを決めます。
- AIにたたき台を生成させる: ChatGPTなどのLLMに、設定したテーマに関するアイデアを複数出してもらうよう指示します。
- AIと対話を繰り返す: 生成されたアイデアに対して「もっと具体的に」「別の視点から」「〇〇なユーザー向けに」といった形で質問を重ね、深掘りしていきます。松浦会長が数十回やり取りしているように、根気強く対話することで、より洗練されたアウトプットに近づきます。
- 出てきたアイデアを整理・取捨選択: AIとの対話で生まれた多数のアイデアの中から、実際に採用できそうなものを人間が選び、さらに肉付けしていく作業を行います。
AIは私たちの思考を加速させ、新たな可能性を提示してくれる強力なツールです。しかし、その恩恵を最大限に享受するためには、AIが生成する大量の情報を適切に処理し、自身の思考と統合するスキルが不可欠となるでしょう。AIとの「共創」のプロセスの中で、いかに人間が主導権を握り、クリエイティブなエネルギーを維持できるかが、今後のAI活用における重要なポイントとなりそうです。


