AI時代の開発者が知るべき!「コモディティ化」を避け、チームで成果を出すFigmaの戦略

AIによる「没個性化」と「チームの分断」
生成AIの普及は、Web制作やAI開発の現場に大きな変革をもたらしました。誰もがコードやデザイン、コンテンツを簡単に生成できるようになった一方で、新たな課題も浮上しています。
元記事によると、AIは過去のデータを学習して出力するため、生成物が平均的で無難な仕上がりになりがちです。これにより、自社のプロダクトが他社と似通ってしまい、市場で独自の価値を失う「コモディティ化」が懸念されています。
さらに、AIによる個人の生産性向上は、チームの協働のあり方にも影響を与えています。Figmaの2026年AI調査レポートでは、プロダクト開発に携わる人の4分の3以上が「AIのおかげで以前はできなかった仕事ができるようになった」と回答しています。しかし、その一方で、ロレダナ・クリサンCDOは「顧客からは、AIによって個人の作業は非常に簡単になった一方、共同作業は完全に不可能になったという声が寄せられている」と述べています。各メンバーが別々のAIツールを使って独自のペースで作業を進めるため、チームで同じ認識を保つことが難しくなり、プロジェクトが停滞する組織が急増しているとのことです。
ディラン・フィールドCEOは「AIの影響は既に『個人の生産性向上』の段階を終え、チームの協働の在り方そのものに波及している」と指摘しています。AIツールによる「チームの分断」を防ぎ、組織全体の力を底上げする仕組みづくりが企業に求められている状況です。
Figmaが提案する「没個性化」を乗り越えるアプローチ
このような課題に対し、FigmaはAIと作業空間(キャンバス)に関しての捉え方を変えるよう提案しています。具体的には、AIに完成品を丸投げして作らせるのではなく、AIが生成したコンテンツを「素材」として扱い、最終的な調整は人間が担うアプローチです。
1. 完成品ではなく「操る素材」としてAIを活用
Figmaは、AIが生成したデータを人間がさらに加工するための「編集可能な共有素材」として管理することを提唱しています。ディラン・フィールドCEOは「AIはクリエイティビティの床(最低レベル)を下げることはできるが、天井(限界)を押し上げるのは人間だ」と強調しています。生成AIによる大量生産時代において自社を差別化するのは、平均的で無難なAIの出力結果ではなく「人間が素材を操り、限界を突破して生み出す表現」だという考え方です。
2. デザインとコードの統合による職種間の認識のズレ解消
Figmaは、デザインとプログラムのコードを同一画面上で共存させる環境を構築しています。これにより、従来デザイナーとエンジニアの間で発生していた認識のズレによる時間のロスを削減します。エンジニアがプログラムを管理しているシステムから実際のコードを直接読み込み、キャンバス上で同時に実行・比較することで、翻訳プロセスそのものを省略し、職種間の認識のズレを構造的に防ぐことができます。
3. アニメーションや視覚効果の統合と微調整
従来は別の専門ソフトに分かれていたアニメーション制作や複雑な質感表現(視覚効果)も、Figmaの同一空間に統合されました。AIに一括生成させた動きや質感を、人間がタイムラインや操作ハンドルを用いて手動で細かく微調整できる仕組みになっています。
開発者が試すべきこと
これらのFigmaのアプローチから、Web制作やAI開発に携わる私たちが学ぶべき点は多くあります。
- AI生成物を「素材」として捉える意識改革: AIの出力はあくまでたたき台。それをいかに人間の手で独自性のあるものに昇華させるかを考えることが重要です。
- 職種間の壁をなくすツールの活用: デザインとコードをシームレスに行き来できる環境を構築し、チーム全体の生産性を向上させる方法を模索しましょう。Figmaのようなツールだけでなく、API連携や共通のデータ形式の採用なども有効です。
- 暗黙知の形式知化と共有: 個々のメンバーが編み出したAIの使い方や独自のルールを、そのままチーム全体で共有できる仕組みを構築することが、組織全体のスキル底上げにつながります。プロンプトエンジニアリングのベストプラクティス集や、AI活用ガイドラインの作成などが考えられます。
AIは個人の生産性を飛躍的に向上させますが、それがチームの分断やプロダクトの没個性化につながっては本末転倒です。Figmaが示すように、AIを「操る素材」として捉え、人間が介入して独自性を生み出すプロセスを重視することで、AI時代の差別化とチームの協働を実現できるでしょう。


